院長ブログ
インプラントってどんな治療?40〜60代からの“正しい選び方”
40〜60代のためのインプラント完全ガイド
歯を失ったあとも、しっかり噛んで食事を楽しみたい方へ。
広島県府中市「さくら歯科クリニック」院長・佐藤正彰が、40〜60代の方が知っておきたいインプラントの基礎知識と医院選びのポイントをわかりやすく解説します。

目次
気になるところからお読みいただけます。
1. なぜ40〜60代でインプラントが注目されるのか
40代・50代・60代になると、歯周病やむし歯が原因で「歯を失う」リスクが高まります。
若い頃は少しトラブルがあっても何とか噛めていたのが、あるタイミングで一気にグラグラしたり、抜歯が必要になったりすることも珍しくありません。
一方で、この年代はまだまだ現役で仕事をしていたり、趣味や旅行、友人との会食など「人と会って話す機会」が多い時期でもあります。
そのため、
- 入れ歯だと話しにくい・外れそうで不安
- 笑ったときに銀色の金具やすき間が見えるのが気になる
- 硬いものを避ける食生活を続けたくない
- この先10年、20年を見すえた治療を選びたい
といった理由から、「見た目」「噛み心地」「将来の安心感」を満たしやすいインプラントへ関心を持つ方が増えています。
・しっかり噛めることで栄養がとりやすくなる
・噛み合わせが整い、あごや全身への負担が減る
など、健康面でのメリットも大きい治療です。
2. インプラントの仕組みとメリット
インプラントは、失った歯の根の代わりとなる「人工の歯根」をあごの骨に埋め込み、その上に被せ物(人工の歯)を固定する治療です。
入れ歯のように取り外しをする必要がなく、ブリッジのように両隣の健康な歯を大きく削ることもありません。

人工の歯根に使われる素材は、チタンという金属が一般的です。チタンは身体になじみやすく、骨としっかり結合する性質があります。そのおかげで、自分の歯に近い感覚で噛む力を発揮できます。
■ インプラントの主なメリット
代表的なメリットを、40〜60代の患者さんからよく聞く声とあわせてまとめました。
- しっかり噛める:ステーキやおせんべいなど、硬いものも安心して噛めるようになったという声が多いです。
- 見た目が自然:周りの歯と色や形を合わせられるので、人前で思い切り笑いやすくなります。
- 隣の歯を守れる:ブリッジのように健康な歯を削らなくてよいので、残っている歯を長持ちさせやすくなります。
- 違和感が少ない:取り外しの入れ歯に比べて、装着時の異物感が少ないのも特徴です。
- 長期的に安定しやすい:適切なメンテナンスを行えば、10年以上使い続けられるケースが多くあります。
しかし、入れ歯を何度も作り替えたり、残った歯が次々とダメになっていくリスクを考えると、
「長い目で見たときの安心感」を評価されて選ばれる方が増えています。
3. 入れ歯・ブリッジとの比較
歯を失ったときの主な選択肢は、入れ歯・ブリッジ・インプラントの3つです。
それぞれに長所・短所がありますので、「どれが正解」というよりもご自身の希望やお口の状態に合っているかどうかが大切です。

■ 入れ歯との比較
入れ歯は保険適用の範囲もあり、比較的費用を抑えやすい治療です。一方で、次のような悩みもよく聞かれます。
- 噛むときに動いてしまう、外れそうで不安
- 硬いもの・弾力のあるものが噛みにくい
- 食べ物の温度や食感がわかりにくい
- 発音がしにくく、人前で話すのが気になる
インプラントは、あごの骨にしっかり固定されるため、「噛む力」「安定感」の面で入れ歯より有利なことが多くあります。
人前で話す機会が多い方や、食事を楽しみたい方にとっては、大きな安心材料になります。
■ ブリッジとの比較
ブリッジは、欠損した部分の両隣の歯を削って土台にし、橋をかけるように人工の歯を固定する治療です。固定式で違和感が比較的少ない一方で、
- 健康な歯を大きく削る必要がある
- 削った歯への負担が増え、将来その歯までダメになるリスクがある
- 清掃が難しく、むし歯や歯周病のリスクが高まりやすい
特に40〜60代の方からは、「これ以上健康な歯を削りたくない」というご相談を多くいただきます。
インプラントは、周りの歯にほとんど手を加えずに済むため、「残っている歯をできるだけ守りたい方」に向いている治療と言えます。
4. 40〜60代特有の注意点
40〜60代でインプラントを検討される際には、年齢特有のポイントも確認しておくと安心です。
■ 持病やお薬との関係
高血圧や糖尿病、心臓のご病気など、内科的な持病がある方も少なくありません。
これらはインプラント治療に影響することがあるため、事前にかかりつけ医との連携が重要になります。
インプラント治療が可能なケースは多くあります。
「持病がある=インプラントができない」わけではありませんので、まずはご相談ください。
■ 骨の量・質について
歯周病や長年の噛み合わせの影響で、あごの骨がやせてしまっている場合があります。
そのままではインプラントを支えきれないこともあるため、骨を補う処置が必要になるケースもあります。
CT撮影などで骨の状態をしっかり確認し、「安全にインプラントを支えられるか」を判断することが大切です。
■ 喫煙習慣
喫煙は血流を悪くし、傷の治りや骨との結合に影響を与えることがわかっています。
インプラント治療に限らず、お口の健康のためにも、禁煙・減煙は非常に大切です。
■ メンテナンスの継続
インプラントはむし歯にはなりませんが、周りの歯ぐきや骨が炎症を起こす「インプラント周囲炎」になる可能性があります。
これは歯周病に似た病気で、放置するとインプラントを支えている骨が溶けてしまうこともあります。
そのため、治療後も
- ご自宅での丁寧な歯みがき
- 歯科医院での定期的なクリーニング・チェック
- 噛み合わせの確認・調整
を続けていくことが、長持ちのカギになります。

5. 歯科医院を選ぶチェックポイント
インプラントは「どこで受けるか」がとても大切な治療です。
治療技術だけでなく、事前説明やアフターフォローの体制も含めて総合的に判断しましょう。
■ こんなポイントをチェックしましょう
- 精密検査の体制:CT撮影などで、骨の状態や神経の位置を詳しく確認しているか。
- 症例数・経験:インプラント治療の経験が豊富か、症例の一部を開示しているか。
- 説明のわかりやすさ:メリットだけでなく、リスクや他の選択肢も含めて丁寧に説明してくれるか。
- 費用の明確さ:治療費・検査費・メンテナンス費など、トータルの費用について事前に説明があるか。
- メンテナンス体制:治療後の定期検診やクリーニングの仕組みが整っているか。
- 学会・勉強会への参加:インプラント関連の学会・スタディグループに所属し、技術の研鑽を続けているか。
特に40〜60代の方は、「この先ずっと通えるかどうか」という視点も大切です。
医院の雰囲気やスタッフの対応も含めて、気軽に相談しやすいかどうかを見てみてください。
6. インプラントQ&A
40〜60代の患者さんから、よくいただくご質問をまとめました。
A. 手術中は麻酔をしっかり行うため、痛みはほとんど感じません。
術後は数日ほど腫れや痛みが出ることがありますが、痛み止めのお薬でコントロールできることがほとんどです。
A. メンテナンスの状態や生活習慣にもよりますが、10〜20年以上使えているケースも多くあります。
定期的な検診とクリーニングを続けることで、より長く安定させることが可能です。
A. インプラントは自費診療となるため、決して安い治療ではありません。
ただ、入れ歯を何度も作り直したり、ブリッジで削った歯がダメになって再治療を繰り返す費用も見逃せません。
「これから10年・20年」のことを考えたうえで、無理のない計画をご一緒に考えていきます。
A. はい、可能です。実際に、60代・70代でインプラント治療を受けられる方も多くいらっしゃいます。
年齢だけで判断するのではなく、全身状態や骨の状態を確認したうえで、安全に行えるかどうかを診断します。
A. 抜歯の本数や骨の状態にもよりますが、すべてを一度に行うのではなく、段階的に治療計画を立てることで負担を減らすこともできます。
一度の手術時間や回数なども含めて、事前にご説明いたします。
7. 監修医師プロフィール

佐藤 正彰(さとう まさあき)
広島県府中市 さくら歯科クリニック 院長
平成20年 開業
日本補綴歯科学会/日本口腔顔面痛学会/日本口腔インプラント学会 会員
中四国修練会 会長・公認インストラクター
複数の学会発表・症例発表実績あり
院長紹介:https://sakuradent.jp/doctor/
インプラント治療だけでなく、噛み合わせや全身との関係も含めたトータルな診療を心がけています。
「もし自分の家族だったらどうするか」という視点で、治療の選択肢をご提案いたします。
8. ご予約・ご相談について
ここまでお読みいただき、「自分の場合はどうだろう?」と感じられた方も多いと思います。
インプラントが本当に適しているかどうかは、お口の状態や全身のご病気、ライフスタイルによって変わります。
さくら歯科クリニックでは、いきなり治療を決めるのではなく、事前のカウンセリングと検査を重視しています。
現在の状態をわかりやすくご説明し、入れ歯・ブリッジも含めた複数の選択肢をご提案したうえで、一緒に方針を決めていきます。
